監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
建設業者は、請け負った工事の現場に主任技術者(一定以上の下請を使う元請は監理技術者)を置かなければなりません。請負代金が大きい公共性のある工事では、その技術者を現場ごとに専任で置く必要があります。このページでは、専任が必要な工事と、2024年12月から認められた兼任の特例をまとめます。
主任技術者と監理技術者
| 技術者 | 置く場合 | なれる人 |
|---|---|---|
| 主任技術者 | すべての工事(元請・下請、金額を問わない) | 一般建設業の営業所技術者になれる資格・実務経験をもつ人 |
| 監理技術者 | 元請の特定建設業者が、下請契約の総額5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上で工事をする場合 | 特定建設業の営業所技術者になれる資格をもつ人 |
どちらも、その会社に直接・恒常的に雇用されている人でなければなりません。下請総額の金額は、2025年2月1日から5,000万円・8,000万円になりました(それまでは4,500万円・7,000万円)。
専任が必要な工事
次の工事で、請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)の場合は、元請・下請にかかわらず、主任技術者・監理技術者を工事現場ごとに専任で置く必要があります(建設業法第26条第3項、施行令第27条。2025年2月1日から。それまでは4,000万円・8,000万円)。
- 国・地方公共団体が注文者の工事国・県・市町村などが発注する施設・工作物の工事。
- 公共性のある施設・工作物鉄道・道路・橋・河川・ダム・上下水道・港湾などの工作物、学校、電気・ガス・電気通信・放送の事業用施設など。
- 多数の人が利用する施設図書館・美術館・博物館、社会福祉施設、病院・診療所、集会場、市場・百貨店、事務所、ホテル・旅館、共同住宅・寄宿舎、工場・倉庫、神社・寺院・教会、展望塔など。
対象が広いため、個人の住宅以外のほとんどの工事が該当します。監理技術者を専任で置く場合は、監理技術者資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受けた人でなければなりません。
「専任」は「常駐」とは違います
専任とは、ほかの工事現場の職務を兼ねず、常時継続的にその現場の職務に従事することです。施工中ずっと現場にいることまでは求められていません。研修・講習・試験への参加や休暇など、合理的な理由で短い期間現場を離れることは、施工体制を確保し、発注者(下請の場合は元請や上位の下請)の了解を得ていれば差し支えありません。
専任が必要な工事でも兼任できる場合
2つの現場を兼任できる特例(2024年12月13日から)
次の要件をすべて満たせば、専任が必要な工事でも、1人の主任技術者・監理技術者が2つの現場まで兼任できます(建設業法第26条第3項第1号、施行規則第17条の2・第17条の3)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 請負代金 | それぞれの工事が1億円未満(建築一式工事は2億円未満) |
| 現場の数 | 2つまで |
| 移動 | 1日の勤務時間内に巡回でき、災害や事故のときの現場間の移動時間がおおむね2時間以内 |
| 下請の次数 | 下請契約が三次までに限られる |
| 連絡員 | 現場ごとに、技術者との連絡などを行う人を置く(土木一式・建築一式工事は、その工事の実務経験が1年以上の人) |
| 施工体制の確認 | 技術者が情報通信技術(CCUSなど)で現場の施工体制を確認できる措置をとる |
| 情報通信機器 | 現場の状況を確認するための、映像と音声の送受信ができる機器と通信環境を整える |
| 人員配置計画書 | 技術者の氏名・時間外労働の見込みと実績・各工事の内容・下請・連絡員などを書いた計画書を作り、現場に備え置き、営業所で帳簿と同じ期間保存する |
監理技術者補佐を置く場合(2020年10月から)
現場ごとに監理技術者補佐(1級の技士補などで、主任技術者の資格をもつ人)を専任で置けば、監理技術者は2つの現場まで兼務できます(建設業法第26条第3項第2号)。
密接な関係のある工事
密接な関係のある2つ以上の工事を、同じ建設業者が同じ場所や近い場所で施工する場合は、同じ専任の主任技術者がそれらの工事を管理できます(施行令第27条第2項)。
営業所技術者が現場の技術者を兼ねる特例
営業所に置く技術者(2024年12月から「営業所技術者」。以前の専任技術者)は、原則として営業所に常勤する必要があり、専任が必要な現場の技術者にはなれません。ただし、次の要件をすべて満たせば、1つの現場に限り、主任技術者・監理技術者を兼ねられます(建設業法第26条の5、施行規則第17条の5)。
- その営業所で契約した工事営業所技術者がいる営業所で請負契約を結んだ工事であること。
- 請負代金1億円未満(建築一式工事は2億円未満)。
- 営業所と現場の距離1日の勤務時間内に巡回でき、災害や事故のときの移動時間がおおむね2時間以内。
- 兼任の特例と同じ体制下請は三次まで、連絡員を営業所と現場に置く、情報通信技術での施工体制の確認、映像と音声の機器、人員配置計画書の作成・保存。
監理技術者を兼ねる特定営業所技術者は、監理技術者資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受けた人でなければなりません。
公共工事は、発注者の条件も確かめましょう
兼任の特例は建設業法上の決まりです。国・県・市町村の工事では、発注者が入札の公告や特記仕様書で配置の条件を定めていることがあるので、工事ごとに確かめる必要があります。
JV(共同企業体)の工事
JVの工事でも、請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)の場合は、構成員それぞれが、監理技術者か国家資格をもつ主任技術者を専任で置く必要があります。
経営事項審査との関係
- 監理技術者講習を受けた人は6点経審の技術職員のうち、監理技術者資格者証をもち、監理技術者講習を受けた1級技術者は、もっとも高い6点で評価されます。専任の監理技術者として現場に出るための講習が、そのまま経審の評価にもなります(技術力(Z点)と技術職員の数え方)。
- 監理技術者補佐は4点1級の第一次検定に合格した技士補で主任技術者の資格をもつ人は、監理技術者補佐として4点で評価されます。
経審の申請は、まとめてお任せください
行政書士事務所WITHNESSでは、決算変更届(事業年度終了届)から経営状況分析、経審の電子申請、補正への対応まで、まとめてお引き受けしています。
出典:建設業法第26条・第26条の5、建設業法施行令第27条〜第30条・第33条・第34条、建設業法施行規則第17条の2・第17条の3・第17条の5、国土交通省「建設業の各種金額要件の見直し(令和7年2月1日施行)」「監理技術者制度運用マニュアル」。2026年10月時点の内容です。


